令和4年7月に校区コミュニティセンターにて,健康寿命について講話をしました.
2021年の我が国における平均寿命は女性87.7歳,男性81.6歳.緩やかに右肩上がりに上昇し続け世界のトップ集団にあります.これは様々な社会的な変化,経済的,医学的進歩によりもたらされた果実ですが,果たして長寿であればすぐにそれは喜ばしいこと,と言えるでしょうか.
さて,健康寿命とは,通常の寿命(亡くなる時期,をもとに計算する)とは異なり,健康(とその人が自覚する)状態で生活ができなくなった時期をもとに計算され,定義で多少異なりますが,女性で約75年,男性で約72年程度です.
この20年間,健康寿命と平均寿命は両者とも,ほぼ同等に緩やかな右肩上がりをしています.よって,次の事が言えると思います.
生きている間のうち,健康で居られる期間は長くなり,全体に占める割合もより大きくなってきている.
では,その後に来る時間についてはどうでしょう.平均寿命と健康寿命の差は,女性で平均12年,男性で平均9年程度あります.個人差は大いにありますが,日常生活に制限を感じることから始まり,晩期では介護を受ける期間となります.この"健康とは言えない期間" ,は20年の間殆ど短縮していません.しかしそれは見方を変えると,次のように解釈できます.
より高齢の時期から この"健康とは言えない期間" を迎えるにも関わらず,医療・介護などの社会福祉が行き渡り,長い間生きることができるようになった.
次回は,健康寿命を損なう原因について,考えてみます.
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