便潜血陽性なら、まず大腸カメラをご検討ください
便潜血検査は、便の中の目に見えない微量の血液を調べる検査です。便の中の微量な出血を拾い上げることで、無症状の段階の大腸がんや大腸ポリープを見つけるために広く行われています。
便潜血陽性となった場合は、「次回の検診まで待つ」「もう一度便検査を出してみる」ではなく、精密検査へ進むことが基本です。
1回だけ陽性でも、自己判断しないでください
便潜血検査は通常2日法で行われますが、2回のうち1回だけ陽性だった場合でも、精密検査が必要とされています。
「2日とも陽性ではなかったから大丈夫」「たまたまかもしれない」と考えてしまう方は少なくありません。しかし、便潜血は毎日必ず陽性になるとは限りません。1回だけ陽性であっても、大腸カメラで確認する意義があります。
国立がん研究センターも、便潜血検査のやり直しは精密検査の代わりにならないと案内しています。大腸がんは毎日出血しているとは限りません。
(国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」)
症状がなくても、放置しないほうがよい理由
大腸がんや大腸ポリープは、早い段階では症状が乏しいことが少なくありません。
便潜血検査は、そうした無症状の段階の病変を拾い上げるために行われます。
そのため、「血便がない」「お腹も痛くない」「便通も普通だから大丈夫」とは言い切れません。
実際、日本では大腸がんは非常に重要ながんです。
国立がん研究センターの統計では、2021年の大腸がん罹患数(診断される数)は154,585例、2024年の死亡数は54,416人で、罹患は男女計で1位、死亡は男女計で2位、女性では1位です。
痔がある方も、自己判断しないでください
便潜血陽性の方が最も迷いやすいのは、「痔があるから、それが原因だろう」という場面です。
たしかに痔は便潜血陽性の原因になりえます。しかし、痔があることと、大腸がんや大腸ポリープがないことは同じではありません。
国立がん研究センターも、もともと痔がある場合でも、痔による出血なのか、大腸がんやポリープによる出血なのかは精密検査をしないと分からないため、自己判断せず精密検査を受けるよう勧めています。
(国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」)
便潜血の際に内視鏡検査で確認する主な病気
大腸がん
がんにより亡くなられる方のうち,現在男性では大腸がんは肺がんに次いで第2位の原因となっています.女性では大腸がんは第1位の原因で,肺がんや,乳がんよりも多くなっています.
便潜血検査が広く行われている主な目的は,無症状の段階の大腸がんや,将来がんになるポリープを発見するためです.
(腹痛,便秘,血便などの症状が有る場合は,検診〈便潜血検査〉以前の問題です)
大腸ポリープ
大腸ポリープは,将来大腸がんになりうるもので,便潜血の検査を契機に発見されることがあります.大腸がんはその8-9割はポリープ(腺腫やその他のポリープ)に由来しています.一般には,ポリープも時間が経つとサイズが大きくなり,サイズが大きなものほど,がんが含まれる割合が高くなります.あらかじめ内視鏡でポリープを切除することができます.
潰瘍性大腸炎,クローン病
大腸などの粘膜に慢性的な炎症が起こる状態です.腹痛や下痢,血便,体重減少などの症状を起こし得ます.軽症で自覚症状が乏しい場合も,少量の血液が便に混入するため,便潜血の検査をきっかけに発見されることもあります.
痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)は、肛門の内部または外部に形成される血管の膨張によるものです。この状態は血液の流れが悪くなり、結果として血管が膨らんでしまうことにより発生します。症状には、出血、痛み、かゆみが含まれ、時には脱出することもあります。
切れ痔
切れ痔は、肛門の皮膚または粘膜が、硬い便の通過や激しい下痢などで過度に伸ばされたり、圧迫されたりして裂けることで発生します。出血が見られることがありますが、通常は少量です。便潜血の原因になることがあります.
小腸,胃の病気
大腸に異常がなくても,小腸や胃の病気が原因で血液が便に混じると便潜血検査で陽性になることがあります.大腸内視鏡に加え追加で他の検査が必要になることがあります.
原因不明
便潜血検査で異常が出ても,上記の疾患にどれも当てはまらない場合があります.その場合は,個別の状況によりますが,基本的には経過をみるだけで特に問題ありません.
参考データ:便潜血で考えられる疾患と内訳
ある集団検診の結果では,次のような報告がありますが,疾患の可能性は個人により異なります.
診断名 構成比(%)
大腸がん 2.2
大腸ポリープ 45.1
異常なし 30.5
痔核 8.3
大腸憩室症 7.8
その他 4.3
炎症性腸疾患 1.8
※ 出典:公益財団法人 東京都予防医学協会『年報 2015 年版 第 44 号』
[大腸がん検診(便潜血反応検査)の実施成績 追跡可能であった770例の内訳 ]
便潜血のQ & A
Q.
1回だけ陽性でも、大腸カメラは必要ですか?
A.
はい。便潜血は毎日陽性になるとは限らないため、1回だけ陽性でも精密検査が必要とされています。
Q.
便潜血をもう一度やればよいですか?
A.
おすすめできません。便潜血検査のやり直しは、精密検査の代わりにはなりません。
Q.
便潜血検査の原理は?どんな時に陽性になる?
A.
便潜血検査は、微量の血液,具体的にはヒトのヘモグロビン(赤血球中に含まれ、血液の赤色を担うタンパク質)に特異的に結合する抗体を使用して、便に含まれる血液を検出します。この免疫学的方法は、ヒトの血液のみに反応し、食事の肉や魚には反応しないため、偽陽性のリスクが低く、食事制限の必要がありません。肉眼では見えない微量の出血を、免疫学的潜血反応によって検出することができます。
Q.
大腸がんであれば,便潜血検査で分かりますか?
A.
残念ながら,大腸がんであっても必ず便潜血検査で引っ掛けられるわけではありません.
一般的に検査というものには,性能(感度,特異度)があり,様々です.便潜血検査は,多くの人が受けることにより大腸がんなどの早期発見につながる検査ではありますが,検査の性能には限界があります.
大腸がんでなくても便潜血検査で異常が出ることがあり,偽陽性といいます.これはこのページで前述した通りです.
大腸がんであっても便潜血検査で異常が出ないことがあり,偽陰性といいます.大腸がんの進行度の内,早期のもの(がんが浅く根治する可能性が9割を超える)は出血しにくいため便潜血では引っかかりにくく,進行したがんでも大腸の中の部位や,便が柔らかい場合は出血が捉えられず検査が陰性になることがあります.
このため,検査は1日法ではなく2日法が好ましいとされています.これにより,偽陰性を減らし,大腸がんからの出血が捉えられる確率が上がります.しかし,逆に偽陽性も増えることになります.
Q.
痔がありよく出血します.便潜血検査を受けた方が良いですか?
A.
痔がありよく出血する方は,便潜血検査で陽性(実際は,偽陽性:大腸がんが無いのに陽性になる,と本当の陽性の両方がありますが)になる可能性が上がります.痔は偽陽性の原因になりやすいため,便検査で大腸がんなどの有無を推定する,という意味からは正確性が大きく劣るため,検査の効率からは,便潜血検査はあまりおすすめではありません.しかしそのような方々も,大腸がんの早期発見のための検診の重要性は変わりありません.便検査で引っかかっても痔のためだろう,と考えていては本当の大腸がんなどの病気の時に気づくことができません.
そのため,定期的な大腸カメラ検査,をお勧めします.望ましい検査の間隔は,大腸カメラ検査の結果により変わります.
Q.
ポリープが見つかったら、その日に切除できますか?
A.
病変の大きさや形、内服薬の内容などによりますが、井星医院では必要時に日帰り大腸ポリープ切除に対応しています。






