令和6年6月に,久留米市の山辺の道文化館において食育フェスタが開催され,講話「栄養と消化のしくみ」の機会を頂きました.お話した内容は以下のようになります.
食べるということは生物としての生命維持,成長から,文化的・社会的な人の活動としての面まで,幅広い意味がある.こと栄養に限っても,食物の選択は取り入れる栄養を決定し生涯を通じ大きな影響を与える.健康寿命を決める様々な病気の中で,その発症や経過に栄養が関わるものは非常に多い.聞き馴染みのある3大栄養素(炭水化物,脂質,タンパク質)の役割,その過不足の影響への理解は大切である.(ビタミン,ミネラルに関する個別具体的な話は割愛しました)
食育基本法が2005年に制定された背景には,経済的に豊かな我が国で起こっていた「食」をめぐる様々な問題がありました.
偏食,過食.朝食抜きや,過度の痩身施行.
添加物や農薬による健康被害の恐れ.
伝統ある食文化の喪失.
海外への食の依存.
食を大切にする心の欠如.
どちらかといえば,比較的若年者に対しての,学校や家庭で推し進めるべき事柄に関する施策でありましたが,地域での取り組みなど,広義には全世代の国民を含めた健康寿命の延伸につながる内容と解釈できます.
さて,食生活が寿命や病気の発症に関わり,予防しうるものとして,以下のものがあります.
塩分の過剰摂取.
アルコールの過剰摂取.
エネルギーの過剰摂取.
糖分,コレステロールの過剰摂取.
果物や野菜の摂取量が少ない.
これらが関連する病気や身体の状態として,脳卒中,心臓病,がん,糖尿病,認知症,転倒・骨折,虚弱状態(フレイル)があります.これらは,健康寿命を損なう(介護のきっかけになる)筆頭に上がるものです.
食育,食を通じた,育成を実行するにはそれに関わる我々大人の意識が重要です.地域の方々の取り組みや個人の意識により,あらゆる世代の方の生活が豊かになり健康に寄与することと思います.
参考:農林水産省 食事バランスガイドについて リンク
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