令和4年6月に,町のコミュニティセンターにて,「けんしんと生活習慣からみる危険予知」というタイトルで講演を行いました.
現在,自治体(久留米市)の健診として主に,
特定健診
後期高齢者健診(75歳以上)
が実施されています.
これらは,生活習慣病の早期発見を主な目的とし,これにより,具体的には以下のような病気を予防することをねらいとしています.
心臓病(心筋梗塞など)
脳血管障害(脳梗塞,脳出血など)
糖尿病合併症(透析の必要な腎不全,失明など)
重大な病気ですが,これらは長年の生活習慣が大きく関与して発症するため,早い段階での高血圧,脂質異常症,糖尿病,肥満,あるいはその前段階(予備群とも言われます)の発見に大きな意義があります.この健診では,腎臓や肝臓の異常,後期高齢者の場合は血液の異常(貧血)がないかどうかを簡易的に調べることができます.
以上の健診とは別に,がん検診,といカテゴリーの重要なけんしんがあります.これらは,
肺がん検診
胃がん検診
大腸がん検診
前立腺がん検診
子宮頸がん検診
乳がん検診
があり,特定の臓器のがんや前がん病変を専用の検査(レントゲン,胃カメラ,便検査,前立腺マーカー,マンモグラフィーなど)で調べることを目的としています.いずれも罹る方が多いがんで,検診が有用なため実施されています.がん検診を受けずに,これらの病気が早期で偶然にも発見されることは残念ながらあまりありません.
さて,これらのけんしん,どちらがより重要でしょうか?
健診と検診(がん検診)は全く別物です.
生活習慣病の管理,生活習慣がバッチリでも,がんの早期発見ができるわけではありません.逆に,がん検診をしっかり受けていても生活習慣病の対策にはなりません.車の両輪のように,どちらも欠くことができません.
しかし人間の時間,意欲,エネルギーにも限りがあります.あなたにとってどのけんしん(健診,検診)が重要か.これまでのけんしん(あるいは人間ドックなど)の結果をもとに,かかりつけ医に相談されるとよいかもしれません.
Comments